今回は2020年に出版された齋藤孝氏の一冊。
本書は、幼児期の子どもに対して絵本がどれだけのいい影響を及ぼすか、具体的な効用について書かれています。
「1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる」本書「はじめに」より
絵本の読み聞かせ
知識を着実に身につける伝統的な学力とともに、変化に対応できる柔軟な新しい学力が必要になってきています。一言でいえば、「本当の頭のよさ」です。
これは、自分の足で立って、自分の頭で考え、自分の手で幸せを摑みにいく力です。私は教育を研究してきた者として、子どもたちがどうしたら、変化の時代を強く生き抜けるかについて考えてきました。
変化に強いとは、変化に対応するしなやかさを備えているということ。新しいことに一歩を踏みだす勇気と判断力、同時に、どんな社会になろうとも、人間社会である以上、協調性やコミュニケーション力は必須です。他者に対する優しさ、思いやり、また、学力の基盤となる国語力、読解力はすべての力の源となります。
どんなに社会が変化し、価値観が変わろうとも、自分の力を発揮して生きていける、明るくたくましく、世を渡っていける子=本当に頭のいい子を、どう育てていけるか。その鍵は、幼児期の7年間をどう過ごすかだと、私は考えています。
いろいろな早期教育が流行していますが、私は絵本の読み聞かせこそ、幼児教育の中心に据えるにふさわしいものと考えています。
読み聞かせの時間は親子で共有
子どものゆったりのんびりペースに、時間が許す限りは、親御さんが合わせてあげてほしいのです。
できるだけ子どものペースを尊重する。そして同じペースを親もいっしょに楽しむ。そうすれば、子どもも追い立てられるような気持ちを持たなくて済みます。
子ども時間を存分に過ごすことができるのです。絵本の読み聞かせは、なかでも、親と子がいっしょに過ごす貴重な時間です。
親子のコミュニケーションが土台となる
大人になって「ここぞ」というときに踏ん張れる力を発揮できるかどうか。これには、幼児期にこうしたつながりを持っていたかが関わっています。誰かと確実につながってきた感触は、幹となってその後の人生を支えます。
物語の内容だけでなく、絵本を読んでくれる声からも、抱っこされている肌の温もりからも、子どもは親の愛情を感じとります。
読み聞かせは子どもを絵本の世界に導くためだけのものではありません。親子が互いに愛情を伝え合い、触れ合うための時間なのです。
「1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる」出版社ホームページより
手元に100冊の絵本を。それだけで、お子さんの成長は劇的に変わります。
0歳から6歳の間にどんな絵本と出会えるか
- 子どもが好きな絵本は?
- リアクションを書き留め、成長の記録に
- 理想は200冊、最低100冊揃える
- ジャンルは幅広く
- 名作は押さえるべし
- お気に入りは何十回でも読む
著者によれば、親子で共有した時間や経験が多ければ多いほど、絵本の世界で過ごした時間が長ければ長いほど、芯の強い、どんな変化の時代にも強い人間が育つので、いい絵本に勝る教材はないといって過言ではないと言うのです。気になった方は本書をチェックしてみてはいかがでしょうか。
1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる
齋藤孝・著
マガジンハウス
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